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こちらの展示は令和3年度観光庁補助事業への参加をきっかけに出会い・共鳴しあった、ホテルカンラ京都と東本願寺の御用達である植彌加藤造園株式会社による協同企画です。

東本願寺の飛地境内地の名勝「渉成園」を、命が響き合う「いきものの楽園」に見立て、植彌加藤造園の職人たちが制作しております。

 

渉成園は国指定の文化財庭園でもありながら、10,600坪という広大な敷地に多種多様な樹木・植物と水辺の環境を備えており、京都駅から徒歩10分圏内という市街地空間における生物多様性を守るいきものたちの避難地、ビオトープのような機能を果たしております。

さらに、100年前に枯死したビャクシンをはじめ、枯れ(老い)や死をも内包し命の理そのものを見つめる。いたるところに真宗大谷派の教えを反映している庭園です。

 

今回我々は、頼山陽が「渉成園記」において13の景色を選び記したように、通常、庭園では排除対象になるような存在をもあえて景色として取り込み、非公開の裏側に生息するいきものも含めた13種の景物を選び、スポットライトを当てました。

渉成園は五感を開放し、耳を澄まし、観察して巡ってみると、多くの発見があり、豊かな喜びと楽しみ、旅情と郷愁をもたらしてくれるお庭です。皆様も是非、実際に足を運び、小さな旅をお楽しみください。

頼山陽「渉成園十三景」にちなみ選ばれた13種の景物たち
 

  1. 枯れた切り株
    古い歴史ある庭園には、倒木、伐採を経て残された苔むした切株がいたるところにみられます。
     

  2. 桜の枝 天狗巣病
    西門の枝垂れ桜、傍花閣付近にはその名の通り桜が多く、お花見の名所です。テングス病に侵された枝は、樹木の育成に悪影響を及ぼすため除去対象ですが、天狗の巣に見立てられるような、面白い形をしております。
     

  3. クチナシ
    園内の各所にみられ、秋から冬にかけてユニークな形のオレンジの実が色づきます。
     

  4. ハチの巣(コガタスズメバチ)
    樹木の病害虫の毛虫などを捕食してくれる益虫でもあります。コガタスズメバチの巣は工芸品のような美しい姿をしております。
     

  5. ウメの枯れ鉢(チガヤ付)
    現在修復工事中の双梅檐というウメの園をはじめ、園内各所で見られ、早春を告げます。
    チガヤは非常に繁殖力の強いこれぞ「雑草」という草ですが、低い草丈に落ち着いたチガヤは秋冬の寒々しい景色に紅葉した葉が暖かい色味を添えてくれます。
     

  6. きのこ(マンネンタケ)
    あらゆる場所に様々な種類が生えてきますが、普段の日本庭園では除去対象であります。
     

  7. 松葉
    クロマツの敷き松葉。13景「五松塢」はじめ園内のいたるところに見られる松。職人達によるお手入れの姿は冬の渉成園の風物詩です。
     

  8. 冬草(枯れススキ・枯れシソ)
    特に、印月池の対岸、南大島に多く見られます。冬の枯れススキは水分が抜けて軽くなり、ふわふわと風にそよぎます。シソはバックヤードに多く分布しております。枯れてもなお、強い香りを残します。
     

  9. カラタチ
    渉成園の通称である「枳殻邸」の名前の由来であるカラタチ。ミカン科の落葉低木。
     

  10. つる植物(カラスウリ・藤)
    樹木にまき付くつる植物。紫藤岸の藤の棚が13景の一つです。カラスウリの実は枯れても鮮やかなオレンジ色を保ちます。
     

  11. カリンの実
    亀の甲の井戸近くにカリンの木。毎年たくさんの実をならせ、鮮やかな黄色が目立ちます。
     

  12. ビャクシンの枯れ枝
    100年前に枯死したビャクシンは今もなお庭園の中心で、シンボルとして景色としてそびえたちます。
     

  13. 廃瓦
    西門正面の高石垣には、火災の跡ののこる材料が多く使われています。発見される瓦、歴史のロマンを感じさせます。

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